湖畔に暮らすミュージシャンと愛犬ハンク/ターシャの日記

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2009年 05月 10日

ミス・ミドラブ

 ミス・ミドラブはショー・ディレクター、ミセス・クライスラーはコスチューム・デザイナー、お二人とも自信にあふれた才能豊かな女性です。バリバリヒット作増産中。
 このお二人ととあるショーでご一緒したときの話です。製作は順調に進み衣装稽古の日を迎えました。「うんとフェミニンにお願いします」のリクエストどおり出来上がった女性ダンサーのフィナーレコスチューム、見事な出来映えです。ところが踊ってみるとジョーゼット地が邪魔になりリフトができません。それどころかその生地は一回の通し稽古で使い物にならない状態に破損してしまいました。事前に何度も見てはいたのですが、、。
 
 「こんなリフトがあるとは思わなかったわ」「このシーンはリフトなしでは表現できません」「フェミニンな振り付けじゃないと思うわ」「リフトがフェミニンじゃないとは言えませんよね」、、、

 ふむ、このコンランの責任はキモサベにあり。。プロジェクトのコミュニケーションが悪かった訳です。ミセス・クライスラーにお願いし、前のシーンの衣装を使いまわすことで納得していただきました。

 最後の最後にスッタモンダはありましたが、ショーは無事に幕を開け、大好評。小さなステージですが立体的に構成されたセットは奥行きを感じさせ、音楽はバリエーション豊か、振りも芝居も観客を飽きさせない仕上がり、工夫に満ちた音響照明、そして衣装はちょっと冒険もあり、出演者好演、全てが相乗効果、よくできました。

 1週間経ちました。どことなく沈みがちに見えるミドラブ女史、どうやら衣装の一件が気になっているようです。3人でお食事会をすることにしました。

 ショーのオープンを祝して乾杯、キモサベが、色々あったけど良いショーができてありがとう的な当たり障りのないことを言っていると、ミドラブが急に居住まいをただし、ミセス・クライスラーに向かい英語でしゃべり始めました。彼女は仕事上、毎日米国人と接しているから、ある程度は話せるのですが、改まってまとまったことを話すのは初めてかも知れません。きっと辞書を片手に準備してきたのだと思います。今回は素晴らしいコスチュームをありがとう、最後にあんなことになってしまいごめんなさい。あれから考えてみたけどあれは私がいけなかった。本当にごめんなさい。

 最後の方は声が震えています。ふと横顔を見ると涙がボロボロ流れています。キモサベには小さな子供が一生懸命のあまり、感極まって泣き出してしまう姿のように見えました。

 日頃の物事に動じない彼女の姿からは想像できない、無垢な少女の一面を見たキモサベは、上機嫌でワインを頂きましたとさ。
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by kemosabee | 2009-05-10 13:20 | あばら屋暮らし


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